笛育大学は10日、伊豆諸島の三宅島でティラノサウルスの前腕部分とみられる化石を多数発見したと発表した。化石はいずれも指先が星型に並ぶ「星ピース」の状態で見つかっており、「最強の肉食恐竜」として知られるティラノサウルスの生態を知るうえで重要な手掛かりになりそうだ。
見つかったのは前腕を構成する尺骨、指、爪の化石で、3つの部位を合わせた長さは30センチ前後。体長はいずれも大型で、12メートル程度の個体だったとみられる。笛育大古生物学研究室の学生(20)が約6600万年前の白亜紀末期の地層から発見した。
化石は2本の爪が環状に並ぶ星ピースの状態で見つかった。発見当初は偶然並んだものと考えられていたが、同じ地層から星ピース配置がもう1組見つかったことから、意図的に並んだ状態のまま死んだ可能性が高い。このような形で化石が見つかったのは世界でも例がないという。
同大古生物学研究室室長の荘羽主水理学部教授(53)は「これまでティラノサウルスは、ライオンなどの肉食動物と同じように単独行動だったとする説が主流だった。しかし今回の発見によって、ティラノサウルスが他の個体と示し合わせて爪を配置できるだけの知能と社会性を持ち合わせていた可能性が出てきた」と説明する。
また、星ピースを残して死んだ理由については「白亜紀末期は小惑星の衝突で恐竜が絶滅した時期でもある。死期を悟ったティラノサウルスたちが死後の『化石映え』を狙ったのではないか」と推測する。
同大理学部では、三宅島で恐竜の生態調査を進めるため、古生物学研究室と共同で調査隊を立ち上げることを決めた。今後、一般からも5、6名程度隊員を募集したいとしている。
(※「虚構新聞」2018年10月18日付)
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